わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる

(スゴ本 = すごい本)

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この本がスゴい!2020

今年の一年早くない?トシ取るほど時の流れを早く感じるのは知ってるけど、今年は特に、あっというま感がすごい。恒例のこの記事、もう書くの!? と思ってる。毎年、「人生は短く、読む本は多い」と能書き垂れるが、今年は、「人生は加速的に短く、読む本は指数的に多い」と変えておこう。そして、昨年と比べると、世界はずいぶん変わってしまった。基本的に外に出ない、人と会わないが普通になり、マスク装備が日常になった。オフ会や読書会でお薦めしあった日々は過去になり、代わりにZoomやチャットでの交流が増えた。ポジティブに考えると、そのおかげで、読み幅がさらに広がった。わたし一人のアンテナでは、絶対に探せない、でも素晴らしい小説やノンフィクションに出会うことができた。お薦めしていただいた方、つぶやいた方には、感謝しかない。さらに、今年は本を出した。ブログのタイトルと同じく、[わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでる]だ。美味しいところだけを、ギュッと濃縮した一冊で、名著から劇薬本まで、お薦めを大量に紹介している。すると、読者の方から「それが良いならコレなんてどう?」というフィードバックを大量にいただく(ありがとうございます!)。どれも独力では一生かけて...

自分の死に方は自分で選ぼうと思っている『自殺学入門』

問題:自殺のリスクが大きいのは、AとBのどちらか?AB男女未婚、離別、死別既婚内向的外交的無職、収入無し有職、収入あり容易に想像がつくが、『自殺学入門』によると、結婚して収入のある女性よりも、無職で離婚した男性の方が、より自殺率が高いという。さらに、太平洋・瀬戸内海沿岸よりも、日本海側平野部よりも、山間部日照時間が短く、積雪が多い地域の方が、自殺率が高くなるという。注意すべきは因果ではなく相関の関係にある点だ。山間部で積雪が多い地域だと、他者の支援や病院に行く必要があっても、そのコストが大きいだろうし、人口が少ないことから、福祉などの社会資源に乏しいことは明白だ。また、パートナーと別れる場合の自殺リスクも、男女で差が出てくる。離婚であれ死別であれ、配偶者を失ってより大きなダメージを受け、自殺リスクになるのは男だというのだ。一方で、自殺未遂は圧倒的に女が多いという。これは、男の方が、自分の身体にダメージを与える能力が高いというのと、男の方がためらわず、より致死的な方法を選ぶ傾向にあるからだという。どんな人が、何をきっかけとして、どういった方法で、自殺を試み、どれくらい上手くいくのか―――『自殺学入門』は、容赦なく分析してゆく。そもそも自...

オデュッセイアを読むと何が起きるのか具体的に述べる

100年前、米国で刊行された世界文学全集で、「モテるための古典」「1日15分であなたも教養人に!」と謳っている(※1)。「人生を豊かにする教養」とか「必読の名著」といった教養を売り物にする本があるが、びっくりすほど何にもない。書店でパラ見してみるがいい。どこからか引き写した簡単なまとめだけで、その名著とやらを読んで、本人の何がどう変わったのか、ほとんど書いていないから。せいぜい、アイスブレイクのネタになったとか、「多面的な視点」みたいなふわっとした言い回しが関の山だ。『オデュッセイア』を読んで起きたことここでは、反例として、わたしが古典を読んで、何がどう変わったかを述べる。できるだけ具体的に、ホメロス『オデュッセイア』を読んで起きたことを書く。英雄オデュッセウスが故郷に帰る冒険譚で、行く手を阻む怪物や魔法使いを、知恵と勇気と女神様で乗り切る。ラストの、ライバルたちとの対決は、虐殺と言ってもいいほど一方的&圧倒的で、ドーパミンが出まくった。この物語から切り出して、様々なエピソードやトピックが生まれている。翻案したり置換することで、元の話とは似ても似つかぬ、でも既視感のあるストーリーができあがる。たとえば、『千と千尋の神隠し』で父母が豚に...

「世界文学」の日本代表が夏目漱石ではなく樋口一葉である理由

世界文学全集を編むなら、日本代表は誰になる?漱石? 春樹? 今なら葉子?審査は、世界選手権の予選のようになるのだろうか。投票で一定の評価を得た著者なり作品が、トーナメントを勝ち抜いて、これぞ日本代表としてエントリーするのだろうか。スポーツならいざ知らず、残念ながら、文学だと違う。春樹や葉子ならまだしも、夏目漱石は予選落ちである。なぜか?『「世界文学」はつくられる』に、その理由がある。近代日本語の礎を築いたことで誉れ高い漱石でも、世界的に見た場合、西洋文学のコピーとして低く評価されているという。「世界文学」での漱石『坊ちゃん』『猫』が有名だし、教科書で『こころ』を読んだ人もいるだろう。何と言っても千円札の顔だから、諭吉よりは見慣れている。やたら有難がる人もいるのは、ザイアンス単純接触効果じゃね?...

全人類が共有できる歴史はありうるのか?『新しい世界史へ』

「歴史は勝ったほうが書く」のだから、いま主流の価値観や集団に焦点を当てるのが普通だと思ってた。各時代の支配層が、自らの正統性の証(あかし)を過去に求め、上書き保存してきたのが、歴史叙述だと考えてきた。だから、本書で紹介される「新しい世界史」は、斬新で、困難だと考える。その一方で、この世界史を知りたい、と強く願う。『新しい世界史へ』は、いわゆる「世界史まとめ」ではない。よくあるWikipediaのコピペに「教養」というレッテルを貼った本でもない。そういう巷の「世界史」に隠されている先入観や意図を明るみに出し、改善策を示し、代案を提示する本だ。いうなれば、世界史を語るのではなく、「世界史の語り方」を考える一冊なのだ。全人類に向けた世界史という、ある意味、ぶっ飛んだ構想を議論しているのは、羽田正氏である。比較歴史学の専門家で、東京大学の東洋文化研究所の所長のキャリアを持つ。著書も多数で、『輪切りで見える!...

なぜバカは無敵で世の中に蔓延しているのか分かる『バカの研究』

桃井かおり「世の中、バカが多くて疲れません?」から30年、バカはどんどん増えている。バカは、激しく自己主張する。感情的にわめきたて、他人の意見に聞く耳を持たない。ことが起きるたびに「ほら、私が言った通りだろ?」と叫ぶ。思い通りにならないと、全て人にせいにして、自分が間違っている可能性を考えない。自分を高く評価するあまり、客観的な判断ができない。バカは、「間違えたら死ぬ病」にかかっている。自分の間違いを、絶対に認めようとしない。自分の間違いが証明されそうになると、ゴールポストを動かす。都合の悪いことを完全に忘れる能力があり、「昔は良かったが、今はダメだ」を口癖とする。「バカ=知識がない」ではない。知識はあり、アカデミックな立場にいるにもかかわらず、信じがたい愚かな発言を繰り返すバカは、大量にいる。しかも、なまじ知識があるぶん厄介だ。自分のイデオロギーを裏付ける文献を引用しながら、知的な虎の威を借りて、不愉快な相手を糾弾する。知識とは、相手を黙らせる武器だと考えている。バカには理由があるこうしたバカが、なぜ存在するのか―――この疑問に対し、『ファスト&スロー』のダニエル・カーネマンや、脳科学者アントニオ・ダマシオなど名だたる知性が結集し、...

サクサクした食べ物が好きなのは、祖先が昆虫食だったから『美食のサピエンス史』

サクサク(crispy)した食べものは、みんな大好きだ。たとえば、唐揚げやフライドチキン、ポテトチップスは、世界各国で好まれる。この、サクサクした食感を好む傾向は人類共通らしい。なぜ、私たちはサクサクを好むのか?本書によると、かつて我々の先祖が、昆虫を好んで食べていたからだという。つまり、外はサクサク、中はトロ~りした食べものが好まれるのは、外骨格に身を包み、タンパク質や脂肪を豊富に含んだ昆虫を食べてきた名残りなのだというのだ。昆虫食は異常?アジア、オーストラリア、アフリカ、南アメリカ、中東では、昆虫は優れたタンパク質源であり、薬剤としても利用されている(※1)。そういえば、わたしが子どもの頃、祖母が作った「イナゴの佃煮」や「ハチノコ」が食卓に並んでいた。いっぽう、欧米人は、昆虫食をありえないと決め付けるのだが、その理由が興味深い。昆虫を「きたならしく、吐き気をもよおす」から食べないのではない。文化人類学者マーヴィン・ハリスによると、真相は逆で、昆虫を食べる習慣がないからこそ、「きたならしく、吐き気をもよおす」ものと見えているというのだ。そして、昆虫食の価値が認められていないのは、欧米文化の環境条件に過ぎないという。獣や魚の肉が手に入...

変えられないものをスルーして、変えられるものだけに集中する

人生で一番大事なことは、イチローから学んだ。コントロールできることと、コントロールできないことに分ける。そして、コントロールできないことには関心を持たない。首位打者争いをしているとき、ライバル打者について話題が及ぶと、「相手の打率は、僕にはコントロールできません、意識することはありません」と打ち切ったという。同じことを、ヤンキース時代の松井秀喜も語っていた。成績が振るわず、マスコミに批判されたことについて質問されると、「記事はコントロールできません。気にしても仕方ないことは気にしません」と返したという[松井、イチローの言葉を就活に生かす]。初めてこの言葉を聞いた時、自分を苦しめているものがはっきりと見え、すっと楽になった。以後、手帳の見返しに書きつけ、毎日見返している。わたしを苦しめているものは、「コントロールできないもの」を生み出しては抱えている、わたし自身なのだ。もっと踏み込んだ言い方では、[二ーバーの祈り]がある。神よ、変えることのできないものを、静穏に受け入れる力を与えてください。そして、変えるべきものを変える勇気と、変えられないものと変えるべきものを区別する賢さを、与えて下さい。神学者ラインホルト・二ーバーが作者とされる祈り...

ナチスが焼いた本のリスト、国際宇宙ステーションにある本、ハリポタの次に読む本……本のリストが面白い

ナチスが焼いた本のリストナチスが焚書した本は4,000を超えており、その全容は把握しきれない。だが、焼かれた本の一部は分かっており、”A Book Of Book Lists” でリスト化されている。これを見ると、ナチスが何を恐れていたかが、よく分かる。武器よさらば(アーネスト・ヘミングウェイ)いかにして私は社会主義者となったか(ヘレン・ケラー)野性の呼び声(ジャック・ロンドン)鉄の踵(ジャック・ロンドン)世界史概観(H.G.ウェルズ)理性に訴える(トーマス・マン)ジークムント・フロイトの全著作 ISS(国際宇宙ステーション)にある本宇宙ステーションで働く人々は超忙しいので、本読んでるヒマなんてないのでは? と思うのだが、リラックスのための読書は必須らしい。数十年にわたり私物として持ち込まれ、そのままライブラリー化しており、シリーズものが充実している。ファウンデーションシリーズ(アイザック・アシモフ)エイリアン 感染(ダレル・ベイン)アシモフのサイエンス・フィクション(アイザック・アシモフ)ヴォルコシガン・サガ(ロイス・マクマスター・ビジョルド)二都物語(チャールズ・ディケンズ)戦争と平和(トルストイ)風と共に去りぬ(ミッチェル)オナ...

『独学大全』はこう使う

独学の達人である読書猿が書いた、独学の百科事典。「読書猿って誰?」という人がいたら、[読書猿Classic]を見に行くべし。787ページ、1kgは、ほぼ鈍器で、そこらの教養芸人を蹴散らすのにピッタリ。だが、隅々まで読むのは時間がかかる。独学する人は何らかの「学びたいこと」を抱えており、それにまつわる様々な問題を解決したいが故に本書を手にするのだから、全読している時間が惜しいかもしれぬ。そんな人のために本書の使い方を紹介するとともに、『独学大全』が、私をどのように変えたか、さらに、どのように使っていくかを書く。『独学大全』で最初に読むところ『独学大全』でどう変わるか『独学大全』をこう使う1. 『独学大全』で最初に読むところもちろん始めから読むのが一番だが、てっとり早く掴みたい、という方のために、p.33~39に「本書の構成と取説」がある。この6ページを読むだけで使い方が分かる……のだが、もっと切実な悩みを抱えている方もいるかもしれぬ。どうやって調べればいいか分からない読むのが苦手すぐ挫折して続かないなんで学ぶのか分からなくなった頭が悪い ……等々そんな具体的な悩みごとは、巻末の「独学困りごと索引」からダイレクトに引ける。たとえば、私自身...

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