わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる

(スゴ本 = すごい本)

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「名もなき家事」の減らし方

掃除、炊事、洗濯……家事には名前があると思っているのはシロウト。世の中には、名前のない家事が沢山ある。たとえば昨日やったのはこれ。水筒のパッキンやゴムを外して洗い、乾燥させ、組み立てた後に棚にしまう家事ペットボトルを分別するため、キャップを外し、水ですすぎ、輪っかを切断してラベルを剥がす家事★家じゅうのゴミ箱からゴミを収集・分別しゴミ袋にまとめ、適切なタイミングで収集場所へ運ぶ家事飲み終えた紙パックを洗い、切り開き、乾燥させる家事食材や缶詰の賞味期限を確認し、棚の配置を適切にソート(手前から奥へ昇順)した後、切れたものは中身と容器に分別し処分する家事冷蔵庫の奥で変異しつつある物体Xを探索し、適切なタイミングで(翌日にゴミに出せる)処分する(ポリ袋で密閉し臭いを封じ込める)家事保存容器のタッパーのフタと本体を正しく組み合わせる家事★ダイレクトメールの個人情報を切り刻む家事★お湯を沸かしてミネラル麦茶を作り、粗熱が取れたのを確認して冷蔵庫に格納する家事食洗機で洗い終えた食器を棚に格納する家事便座に散った家族の誰かの水滴(尿?水?)をふき取るついでに黄ばみもこすり落とす家事掃除機のヘッドに絡みついた髪の毛をハサミで切断する家事台所の排水溝の...

面白い物語の「面白さ」はどこから来るのか? 「物語の探求」読書会

面白い小説・マンガ・映画・ゲームに没頭しているときは分からない。だが、お話が終わった後、あらためて、なぜそれを面白いと思ったのかは、気になる。その物語の「面白さ」はどこから来たのか誰にでもウケるのか(「面白さ」は一般化できるのか)「面白さ」は再現できるのかそんな疑問を抱えていたら、面白い読書会があったので、参加してきた。「物語の探求」読書会(ネオ高等遊民サークル)タケハルさん(脚本家)スケザネさん(シナリオライター)ネオ高等遊民さん(哲学Youtuber)Dain(ブロガー)小説、漫画、映画、舞台、ゲームなどジャンルの垣根を越えて、「物語」について考えるオンライン読書会。たとえば、「ラストで感動させる仕掛けはどう使われているか」「物語世界に巻き込む外的焦点化とは何か?」など、物語を創る側の視点から考える。第1回の課題本『物語の力 物語の内容分析と表現分析』高田明典、竹野真帆、津久井めぐみ(大学教育出版)目次物語の役割は、現実と折り合いをつけること現実の問題をずらして「面白い」を作るスタイルと物語を分けられるかルフィの目はなぜ点なのか主人公が酷い目に遭うのが面白い物語?『デスノート』と『マクベス』に共通する仕掛け1....

「おいしい!」と感じるとき、何が起きているのか『味覚と嗜好のサイエンス』

「味」は信号だが、「おいしい」は経験だ。味覚というものは、食べ物が体に入ってくる時に最初に感じるセンサーの役割になる。甘味はエネルギー源となる糖、塩味はミネラル、うま味はタンパク質、酸味や苦味は腐敗物の存在を感知する。では、塩何パーセント、砂糖何グラムといった味覚が最適化されれば、自動的に「おいしい」になるわけではない。料理の見た目やにおい、口に入れたときの食感やのどごし、風味の全てで、わたしたちは味わう。さらに、昔から食べ慣れているかも含め、いまの体感と過去に学習してきた記憶を総動員して、「おいしい」と感じる。ふだんの食生活で見過ごされがちだが、「おいしい」とは、結構複雑な結果なのだ。本書は、この味覚と「おいしい」を手がかりに、食べるとは何かを探求したもの。家系ラーメンがおいしい理由は、モルヒネと同じ最も興味深かったのが、「油」の存在だ。料理に不可欠で、かつおいしくさせる油脂なのだが、実はこれは無味無臭。油脂の「味」というものは、塩味や酸味のような、古典的な意味での味覚ではないのだという(※1)。ホント!?...

大好きなマンガが完結したので全力でお勧めする『大蜘蛛ちゃんフラッシュバック』(ネタバレ無し)

このマンガは、同級生のお尻を見てたら、ひっぱたかれるところから始まる。 ……このシーンは、主人公の実(みのる)の目線ではない。お尻を見てたのは亡き父で、その記憶が、折に触れて、実の脳内に蘇るのだ。お尻の持ち主は、若かりし頃のお母さん(旧姓:大蜘蛛ちゃん)。つまり、母に一途な父の目線でもって、「女子高生のお母さん」の記憶が、息子にフラッシュバックされる。そして厄介なのは、実は、お母さんに恋をしてしまっていること。女子高生のお母さん(細身で強気)と、今のお母さん(むっちり無防備)に煩悶する、マザコンラブコメ。「お母さんに恋してる」なんて、ちょっとヤバくね?その自覚はある。だから実は自問する。だけど、お母さんとの日常に、父の過去の記憶が入ってくると、女子高生のお母さんの可愛いさに撃たれる。そして、(ここ重要)父がどれほど母を好きだったか、ということを、父の目線で思い知る。だから実は煩悶する。父の高校時代をなぞる実は、そのまま行くと母と結ばれてしまうインモラルな展開になってしまうのだが、そこは作者・植芝理一先生の見せどころ、これでもかとばかりにフェチと変態と純愛とノスタルジックなネタと突っ込んでくる。そんな実に興味津々なのが、同じクラスの一...

きれいは汚い、汚いはきれい『不潔の歴史』

歴史上、いちばん不潔な信徒は、次のうちのどれか。キリスト教徒イスラム教徒ユダヤ教徒『不潔の歴史』によると、史上最も不潔なのは、キリスト教徒だという。ホント!? 入信の際の洗礼のイメージから、きれい好きと思っていたが、違うらしい。たとえば、イエスを食事に招いたファリサイ派の人は、イエスが食前に身体を清めなかったことに慄いたとある(ルカ11:37-54)。さらに、「あなたたち(ファリサイ派)は、杯や皿の外側はきれいにするが、その内側は強欲と悪意に満ちている(ルカ11:39)」と非難されている。外見よりも内面を重視するエピソードだろうと思っていたが、これを真に受けて、わざと汚れたままでいることが、4~5世紀のキリスト教徒に流行したとある。手記や小説などで、キリスト教徒の汚さは相当なものだと紹介されている。一方、ユダヤ教徒やイスラム教徒は、清潔でいることが宗教上の要求としてルール化されていたという。つまり、身ぎれいにすること自体が宗教活動の一つだったのだ。「きれい」と「汚い」は文化の違い『不潔の歴史』を読むと、「きれい」と「きたない」は文化的なものであることが分かる。現代の米国人にとっては、清潔とは、毎日シャワーを浴びてデオドラント剤を付ける...

辺境と文明が逆転する『遊牧民から見た世界史』

中国がなぜ中国かというと、世界の中心を意味するから。中国皇帝が世界の真ん中にあり、朝廷の文化と思想が最高の価値を持ち、周辺に行くにつれ程度が低くなり、辺境より先は蛮族として卑しむ華夷思想が根底にある[Wikipedia:中華思想]。しかし、蛮族とされている遊牧民から見ると、舞台はユーラシア全体となる。遊牧生活によって培われた軍事力で圧倒し、スキタイ、匈奴の時代から、鮮卑、突厥、モンゴル帝国を経て、大陸全域の歴史に関わる。中心と周辺が反転し、中華は一地域になる。視点を反転することで、いままで「常識」だと考えてきたことが揺らぎ、再考せざるを得なくなる。歴史を複眼的に眺めるダイナミズムが面白い。『遊牧民から見た世界史』は、その手がかりを与えてくれる。「モンゴル残酷論」の誤りたとえば、「モンゴル残酷論」これは誤りだとする。モンゴル帝国といえば、暴力、破壊、殺戮というイメージが付きまとう。PS4ゲーム『ゴースト・オブ・ツシマ』やコミック『アンゴルモア元寇合戦記』に登場する蒙古は、血塗られた侵略者として描かれている。しかし、これは歴史の書き手による願望であり、よほどの例外を除きモンゴルはほとんど戦っていないという。仮に、敵とみれば殺したという伝説...

「美しさ」のサイエンス『美の起源』

問題:世界で最も美しい数式は、式の①と②のいずれか?多くの方が、直感で式①を選ぶだろう。正解だ。式①の[オイラーの等式]が、世界で一番美しいとされる。ちなみに、式②の[ラマヌジャンの無限級数]は、最も醜いとされる数式だという。最も美しい数式を探す実験は、認知科学者のセミール・ゼキが行った。まずゼキは、fMRI装置を用いて、美しいと感じている人の脳の活性化している部位を特定した。美しい絵画を鑑賞する人の脳のうち、眼窩前頭皮質が活性化するという(*1) 。眼窩前頭皮質は、ちょうど眼球のソケットにあたる箇所に接している部分になる。次にゼキは、数学者の協力を得て、多くの数式の中から、最も美しいと感じるものを選んでもらい、そのときの眼窩前頭皮質の状態を測定した。予想通り、美しい数式を見るとき、この部分の活性化が認められたという(*2)。数学的な美しさは、シンプルさなのかと考えると、興味深い。問題:次の①と②のうち、どちらが美しいと評価されるか。①②これも、分かりやすい。①を答える人が多いだろう。しかし、なぜ①を選ぶのか?その理由は、デニス・ダットンが解き明かしている。ダットンは、普遍文法や普遍道徳と同じように、「普遍美」があると仮定し、それは国...

『ゴースト・オブ・ツシマ』は宮本武蔵の兵法が有効だ

問題:どの敵から倒す?(制限時間0.5秒) 解答と解説:以下の優先で倒す。 左奥の弓兵 真中の槍兵 右側の盾持ちまず弓兵。こいつは距離を取り、離れたところから撃ってくる。動作モーションが見えない視覚外から攻撃することもある。撃つとき「ドーショー!」と叫ぶので避けるなり払うなりすればよいのだが、その間は立ち止まることになる。矢のダメージはそこそこだが、当たると硬直し、敵に囲まれやすくなる。画像では三人だが、大勢で押し寄せられると本当に恐ろしい。このゲームでは、敵に囲まれる=死を意味する。だから、弓兵を率先して倒す。直線的に向かうと的になるだけなので、迂回し、左に弧を描くようにしてダッシュして斬る。軟らかいので短時間で倒せる。次は槍兵。こいつは少し離れたところから突いてくる。槍の特性上、こちらの動きを制限するような突っ込み方をする。さらに、赤く光るとき、弾き不可の攻撃となるので注意が必要だ。そして当たると痛い。かなり痛い。槍兵に囲まれる=ほぼ死を意味する。だから、なるべく一対一になるように立ち振舞う。弓兵を倒した後なので、視覚外からの攻撃は無いと考えていい。なので、敵の団体様の左端(もしくは右端)にダッシュして、そこにいる一人を狙って集中...

アルマゲドン、遊星からの物体X、ディープ・インパクト……人類の終わりを楽しむ『映画と黙示録』

「終末もの」の映画が好きだ。核兵器やエイリアン、天変地異によって人類滅亡の危機が迫るとき、それまでいがみ合っていた人々が団結し、科学技術を駆使して立ち向かうやつ。「世界の終わり」を楽しむ映画だ。『映画と黙示録』(岡田温司/みすず書房)によると、こうした終末ものは、「ヨハネの黙示録」に代表されるキリスト教の終末思想が世俗化したものだという。さらに、世界を滅ぼす存在については、映画が作られた時代が色濃く反映されているという。宇宙人、ウイルス、放射能……その時代の人々が、何に恐怖し、何を救いとしていたかを、映画は具体的に見せてくれる。核が世界を救うたとえば、「核こそが世界を救う」という隠れテーマが面白い。巨大な隕石が地球に向かっており、このままだと人類が危ない―――そこで核兵器を使用して、カタストロフを回避するストーリーが定番だが、1958年の『天空が燃えつきる日』を始め、『メテオ』『アルマゲドン』『ディープ・インパクト』などが紹介される。著者はここに、冷戦時代における核兵器の開発競争と、その正当化が隠れているという。ひとたび核戦争が起きれば、相互確証破壊により、人類は何度でも滅亡できる程の核弾頭がある。脅威を宇宙へ向けることで、非難を逸ら...

意味が分かると『しびれる短歌』

この短歌、あなたは、どう感じるだろうか?ほんとうはあなたは無呼吸症候群おしえないまま隣でねむる鈴木美紀子同室で枕を並べる夫婦なのに、少なくとも妻は冷めきっているのが分かる。「ほんとうはあなたは」で、夫の寝息がおかしいことに気づいてから、結構な日数が経っている。おそらく、就寝中の夫の寝息がおかしいことに気づいて、ネットか何かで調べ、「無呼吸症候群」に辿り着いたのだろう。放っておいたら、そのまま息をしなくなるかもしれない。それも織り込み済みで、「おしえない」。ずっと息をしないようなら、「おしえない」まま目を閉じて、朝まで待つのではないかと、ぞっとする(「教えない」と漢字にしないところに、淡々とした意志を感じる)。夫婦はホラーだ。これなんかもそう。湯上りに倒れた夫見つけてもドライヤーかけて救急車待つだろう横山ひろこ風呂上りのヒートショックで、夫が脳卒中を起こしたのか。この場合、「おしえない」のは犯罪なので一応、救急車は呼ぶ。だけど、待っている間は髪を乾かす。寝かせるぐらいしか応急処置はないからだ。冷静なのか非情なのか。性別逆転すると石を投げられそう。東直子さんと穂村弘さん、二人の歌人が紹介する『しびれる短歌』では、ヒヤりとするような歌がいく...

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