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(スゴ本 = すごい本)

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『バイオハザード ヴィレッジ』の怖さを、ホラー作品で喩えてみる

何かに追いかけられている。暗く、不慣れな場所で、どこへ行けばいいか分からない。闇雲に逃げ惑い、扉の鍵をガチャガチャやっているうちに捕まる。そして、死ぬよりもおぞましい目に遭うことになる。はやくGAME OVERにしてくれ、と死を願う。そんな悪夢を体感できる。あるいは振り返り、その「何か」と対峙する。試す価値はある。手持ちの火器をとっかえひっかえ叩き込む。「何か」を直視したくないが、攻撃が効いているかは観察しないと。さっき手に入れた武器が効いてるようだ。このまま倒せるかもしれない。期待と不安と高揚感が押し寄せてくる。『バイオハザード ヴィレッジ』は、そういう恐怖と快楽の両方をいいとこどりしたゲームだ。その「何か」は、さまざまな作品を彷彿とさせる。たとえば、トビー・フーパ―監督『悪魔のいけにえ』。チェーンソーを掲げ、耳障りな大音響とともに、まっしぐらに駆け寄ってくるレザーフェイス。追いつかれたらひとたまりもなく切り刻まれ、絶命するまで絶叫しつづけるだろう(今ならアマプラで観れるゾ)。または、スタンリー・キューブリック監督『シャイニング』。逃げるためには見通しの良いロビーを横切る必要がある。だが、見通しが良いということは、こちらの姿も目に留...

数学的に美しいと、科学的に正しいのか?『数学に魅せられて、科学を見失う』

科学実験から得られたデータというのは、ノイズだらけで、混沌としており、それらをきれいに説明する数式やモデルを作るのは簡単ではない。そのため、データを説明する数式の候補をいくつか検討することになる。このとき、よりシンプルに実験を説明する、美しい数式の方が、正しいような気がする(オッカムの剃刀、という言葉があるくらい)。しかし、数学的に美しいことは、科学的に正しいことを保証しない。ひょっとすると、数学的に美しくない数式やモデルの方が、科学的には正しいのかもしれないのだ。にもかかわらず、数学的に美しい方が科学的に正しいとする誘惑に駆られ、それに合わせて実験データの取捨選択まで手を染める科学者がいる―――現役の物理学者である著者は、そう告発する。『数学に魅せられて、科学を見失う』は、ザビーネ・ホッセンフェルダーの初の著書となる。フランクフルト高等研究所の理論物理学者だ。ちょっと変わったタイトルだが、サブタイトルは過激だ。”How...

受験英語【だけ】頑張った私に足りないのは語彙力『英語の読み方』

単語の意味、分かるだろうか? (私はほぼ全滅)。 1. US China Trade Deal - BBC News より  ceasefire  reciprocal  subsidize  thorny  truce 2. China warned to show Taiwan respect - BBC News より  decent  reckless  predecessor  infurate 3. Coronavirus whistleblower doctor is online hero in China - CNN より  epidemiologist  death toll  detain  quarantine  whistleblower受験英語よりは少しレベルが高いけれど、BBCやCNNのニュースによく出てくる単語ばかりだという。ceasefire...

レイ・ブラッドベリ『華氏451度』を物語を創る側から分析する―――第3回物語の探求読書会レポート

小説、漫画、映画、舞台、ゲームなどジャンルの垣根を越えて、「物語」について考えるオンライン読書会。今回は、SFの古典レイ・ブラッドベリの傑作を俎上に、脚本家タケハルさん、文学系Youtuberスケザネさん、そして私ことDainでとことん語り合った。書物を焼く意味とは? 本を殺す洗練されたやり方や、焚書に抗う究極の対策を始め、ブラッドベリの創作技法など、盛りだくさんでお届けする。以下、ブラッドベリ『華氏451度』の内容に触れており、ネタバレをしています。<目次>本を焼く者は、やがて人を焼くようになる華氏451の根源「多様性を殺していく」時代を超える本の条件:a passionate few本の殺し方本はカジュアルに焼かれてきたイマジネーションを喚起させるSF作家焚書への究極の対抗策:暗記他の芸術と比較した文学の強みとは思想小説とサスペンス性この世ならざる世界にいかにして引き込むか現実世界との架け橋をつなぐか批評をするな、物語らせよブラッドベリの創作技法終わりに&次回の課題図書 <動画>https://youtu.be/zXwVgaKuaXM <本文>スケザネ:今回はブラッドベリ『華氏451度』についてお話しましょう。2月くらいに課題図書...

文学の手法を取り入れた医療『ナラティブ・メディスン』

患者と医者はすれ違う。たとえばこんな風に。医者「いつ頃から、お酒をたくさん飲むようになったのですか?」患者「夫が亡くなってからです」医者「それは何年前のことですか」患者は腹痛を訴えており、医者は彼女のアルコール摂取量が多いことに気づいている。医者も患者も、腹痛と飲酒量の関係性を疑っているが、それをどのように聞こう/語ろうとしているのかが異なっている。医者は深酒をしていた期間を聞こうとする一方で、患者は、なぜ深酒をするようになったかを、自分の人生の物語として語ろうとしている。夫が生きている間は飲まなかったとか、夫の死後は苦労が重なったといった話をさえぎり、医者は、最終的に知りたいことを聞き出せるだろう。だが、患者が語りたいことは残されたままだ。彼女は、自分のたった一つの身体に起きた異変に戸惑い、恐れ、不安に感じている。痛みや苦しみに耐えながら、なぜそれが、よりにもよって自分の人生に起きたのかを、なんとか説明しようとする。医者はそれを、「病気だから」と片づける。そして病名を特定し治療を施すのが自分の仕事だから、質問に端的に答えることを求める。数ある症例の一つとして接し、医学的に意味のある情報だけを引き出そうとする。ナラティブ・メディスンと...

現実も幻覚の一つであることが見えてくる研究『幻覚剤は役に立つのか』

LSDやサイロシビンなど、危険ドラッグと呼ばれているものは、持ってるだけで重罪だ。依存性があり、自分の意志ではやめられなくなる恐れがあると言われている。だが、毒か薬か量による。専門家の監督下で、正しい用法・用量を摂取することで、うつ病や不安障害といった精神疾患や、末期ガン患者に対し、驚くほどの効果が期待できるという。そして、著者自らが幻覚剤を体験することで、治療薬としての可能性を追求したのが、『幻覚剤は役に立つのか』である。幻覚剤の効果幻覚剤の体験で特徴的なものが、「子どもの目で世界を見る」である。大人の場合、「見る」という行為ひとつとっても、「それは見たことがある」「あれに似ている」など、過去の経験や知識に基づいた見方をする。だが子どもは、(経験が少ない分)そうした影響を受けにくい。見たもののを、そのままダイレクトに受け取ろうとする。たとえば、緑色の点がフラクタルなパターンで視界に入れば、大人は「木の葉だろう」と考える。なぜなら、過去に何千何万回と見てきたため、ただそのパターンだけで推測してしまう。そうすることで、時間とエネルギーを節約しているのだ。LSDを使用すると、そうした短絡的な知覚モードが遮断される。あたかも生まれて初めて目...

人はなぜ遊ぶのか『遊びと人間』

じゃんけんからサッカー、コスプレからワルツまで、古今東西、老いも若きも、人は様々な遊びを楽しんできた。「遊ぶこと」それ自体を目的とする行為を、なぜ人はするのか。この疑問に対し、ロジェ・カイヨワが、神話や文化人類学、歴史学や社会学から解きあかしたのが『遊びと人間』だ。「遊び」といってもその範囲は膨大だ。一人でするもの、複数でするもの、人数が決まっているものや、道具の有無、時間や場所が指定されているもの、厳密にルール化されているものから、自由度の高いものまで、つかみどころがない。これを捌いていく手際が鮮やかだ。まず、遊びを定義することで、外堀を埋める。つまり遊びとはこういうものなのだ。強制されず、自由な活動生活から隔絶され、予め決められた時空間に制限される展開が決まっておらず、創意の工夫が残されている富を生み出さない、非生産的な活動ルールがあり、そのルールだけがその場で通用する非現実であり、虚構の活動である意識がある次に、個々の遊びに共通する性質を示し、類型化する。さらに、この「共通する性質」こそが人を遊びに駆り立てる動機となり、遊びを通じて文化が生まれてきたのだと主張する。分類共通する性質・動機例アゴン競争ルールのある競争において、自分...

怖いと分かってるのに、なぜホラー映画を観るのか『感情の哲学入門講義』

怖いと分かっているのに、ホラー映画が観たくなるときがある。不可解なことが次々と起こり、その原因が見えてくるにつれ、背筋が寒くなるような展開になり、あまりの怖さに、「観なきゃよかった……」と後悔するようなやつ。昼間なら大丈夫だろと、うっかりアマプラで『残穢――住んではいけない部屋』を観てしまい、いま後悔している(怖いというより、嫌あああってなっている。観ると部屋にいたくなくなるので、引きこもりには不適)。怖いなら観なきゃいいのに……というツッコミに同意する。心臓がバクバクして、イヤな汗が出てきて、呼吸もせわしなくなり、そこから逃げだしたくなる。なぜなら、「怖いもの=危険なもの、生命を脅かすもの」だから、それを避けようとするのが普通だから。「怖いものから逃げたい、避けたい」という欲求は、本能に刷り込まれているレベルだろう。例えばヘビやライオンを怖いと思うのは、私の生命に危険があるから。もちろん、ヘビやライオンを怖がらなかった人もいただろう。だが、そんな人は、生き残って私の祖先にはならなかっただろう。怖いと分かっているのにホラー映画をわざわざ観るのは、なぜだろう?順番に考えてみる。ホラー映画を観ると怖くなる「怖い」というのは避けたい・逃げた...

「30秒で描いた絵に100万ドルは高すぎる」と非難されたピカソは何と答えたか?

「ピカソの30秒」という小話がある。ピカソが市場を歩いていると、ある婦人が呼び止めた。彼女はピカソの大ファンで、絵を描いて欲しいという。快諾したピカソは、さらさらと絵を描き上げた。婦人は喜び、いくらなら絵を譲ってもらえるか尋ねた。ピカソはこう言った。「このスケッチは100万ドルです」婦人は驚き、高すぎると言った。たった30秒で描いた絵が、どうして100万ドルもするのか尋ねた。するとピカソはこう答えた。「いいえ、30秒ではありません。私は、これまでに30年もの研鑽を積んできました。だから、この絵を描くのにかかった時間は、30年と30秒なのです」「30年」が「40年」だったり、「100万ドル」が「5,000フラン」だったり、様々なバージョンがあるが、出所が見当たらない。都市伝説みたいなものだと思っていたが、出典を見つけた。ただしピカソではない。ピカソの30秒の元ネタ該当の絵はこれだ。ホイッスラーの「ノクターン」(1877年)になる。Wikipedia:James...

原文で読むからこそ味わえるヘミングウェイの文章の味『ヘミングウェイで学ぶ英文法』

正直に告白すると、ヘミングウェイは苦手だった。簡潔で、説明不足で、ぶっきらぼうな文体だったから。しかし、この本を読んで、考えが変わった。例えば、”Cat in the rain” における、雨宿りをしている子猫を見かけた妻が、夫に告げるシーンだ。“I’m going down and get that kitty,” the American wife said.“I’ll do it,” her husband offered from the bed.“No, I’ll get it. The poor kitty out trying to keep dry under a table.”本書の解説で、「現在進行形(I’m going)と will の違いが分かりますか」と問いかけられる。え?...

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