わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる - RSS Feed

(スゴ本 = すごい本)

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アガサ・クリスティ自選の傑作『終りなき夜に生れつく』

「知らないけど、間違いなく面白い本」を読むには、どうすればいい?世間で評判のベストセラーなら、少しは期待してもよいだろうが、「私が」面白いかどうかは別だ。プロ書評家が「これを読め」なんて誉めても、”Not For  Me” (私には向いてなかった)なんてザラである。そんなとき、どうするか?面白い本を、「これ面白かった!」と叫べばいい。すると、「それが良いならこれなんてどう?」なんてレスポンスがもらえるときがある。ブログ記事に残されたメッセージだったり、twitter のリプライだったり、はてなブックマークでのコメントだったりする。そんな返事をくれる人は、鉦や太鼓で探すべきだし、オススメは果敢に手を出すべき。なかでも、はてなブックマークのコメントは有難く、知らないけれど、面白い本に出会うきっかけを何度も貰った。どんなに感謝しても感謝しきれないくらいである。今回は、d-ff...

セックスロボットは「悪」なのか

白いシャツと眼鏡だけの、女性の人形がある。肌の質感は生きている人そのもので、温かい。シャツを脱がすと、透き通るような白い肌(色は選べる)と、豊満な胸があらわれる(大きさは選べる)。瞳を見つめると、視線を合わせてくる(オプション)。話しかけると反応し、見事なクイーンズ・イングリッシュで返事をする(オプション)。20種類の基本人格を元に、利用者との会話を記憶し、学習して応答するAIが組み込まれている(オプション)。ボディに埋め込まれたセンサーにより、自身の体勢や利用者との位置関係、動きを把握する。把握した内容により、体温を上げたり、適切なタイミングで声を上げることができる。重要なパーツはボディから取り外し可能で、水洗いができる。ロボット工学と人工知能を集大成した特注品で、5万ドル(650万円)になる。 セックスロボットと人造肉『セックスロボットと人造肉』の著者ジェニー・クリーマンは、開発元の...

プロジェクトを炎上させない言葉と習慣

納期・予算・品質のいずれか(または全て)が制御不能になって炎上した問題プロジェクトを鎮火させる技術は、[ITエンジニアが修羅場を生き抜く3冊] に書いた。一方、そもそもプロジェクトを炎上させない技術もある。いま「プロジェクトを炎上させない技術」と呼んだが、要するに言葉と習慣だ。プロジェクトである限り、必ず、何らかの火種をはらんでいる。要件は膨らむものだし、見積もりはズレが生じるもの。予想外の問題は常に起きるし、重要な問題ほど後から見つかるものだ。こうした火元を察知して、手を打つ。あるいはそもそも火種にさせない。そのために、何か特別なセンスが必要というわけではなく、トレーニングで身につけることができる。具体的には、ある言葉や習慣をくり返し実践し、チームに浸透させることで自然に備わるスキルだ。ご要望は承りました、要件に落とす検討をしますノー、それは我々の優先順位に合致していませんあとどれだけ?(何日?/何時間?)いま、取り組むべき問題は何だろう?これらは、経験者からすると「常識ですね」と片づけられるが、知らない人からすると初見殺しになる。いちど自分が痛い目に遭うか、そんな先輩や上司を見ていれば覚えるけれど、初見だと間違いなくハマる。これら...

たった一冊で「生活の質」を底上げする『TEST the BEST』

どんな包丁を使ってる?私は amazon で見つけたステンレスのやつ。「三徳包丁」で検索したら大量に出てきたので、上の方にあった値段が手ごろなやつを買った。10年以上も前の話だ。毎日使っているのだが、研ぎ方が悪かったのか、切れ味がイマイチに感じられる。新調しようと amazon を覗いて、フと気づいた。「三徳包丁」だけでも500種類ある新しい包丁は、毎日使うし、ずっと使っていく良いものが欲しいけど、お金はそんなに出せない「価格」「刃渡り」「素材」などで、検索結果を絞り込むことはできる。絞り込んでも100種類ぐらいになる。買うのは一つだけで、買ったらそれを10年くらい毎日使っていくのだから、良いのがいい。もちろん、それなりにお金をかければ、品質的には十分なものが手に入るだろう。だが日用品にべらぼうなお金は出せない。いつもと同じぐらいの値段で、その価格帯で最も私に合ったものを選びたい。本当は、お試しを実際に触って切ってみて、使い勝手を確かめたいのだが、そういうわけにもゆかぬ。同じ値段で、良いのがほしい。私の代わりにチェックして比較してくれたらなぁ……なんて思っていたら、『TEST...

しなくていい失敗を回避する『プロジェクトマネジメントの基本が全部わかる本』

プロジェクトマネジメント(PM)の重要性は、あまり認知されていないように見える。うまく回っているときは「あたりまえ」扱いでスルーされ、いざ暗礁に乗り上げたときに「どうなってるんだ!?」と糾弾の的となる。プロジェクトをうまく回していくコツというか勘所は確かにあり、相応のトレーニングが必要だ。にもかかわらず、なぜか蔑ろにされている。ろくに訓練もしないまま、「見て学べ」「やって覚えよ」と実践に放り込み、メンタルをやられず生き延びた者が幹部になる。これは悪手だ。よく、「失敗から学ぶほうがより身につく」などと唱える輩がいるが、しなくていい失敗は避けたほうがいいに決まってる。そして、この「しなくていい失敗」のほとんどは、基本を押さえるだけで回避できる。この、PMの基本を押さえているのが本書だ。『プロジェクトマネジメントの基本が全部わかる本』には、プロジェクトを回していくために「あたりまえ」のことが丁寧&具体的に説明されている。経験者が読めば、「なぜこんな当然のことを書くのだろう?」と疑問に思うかもしれない。だが、その「あたりまえ」をやらなかったために、数々の失敗があったのだ。ここでは、本書で紹介されている「しなくていい失敗」と「それを回避する技」...

AIはユーモアを理解できるか

小話をどうぞ。*  *  *  犬売りますとある新聞広告より「犬売ります。何でも食べます。子どもが好きです」ロミオとジュリエットA「読書は好きですか?」B「はい、読書は大好きです」A「ロミオとジュリエットは読んだ?」B「はい、ロミオは読みましたが、ジュリエットはまだです」単位がほしい女学生「単位をください 、何でもしますので」教授「本当に、どんなことでもしてくれるのかい?」女学生「お望みのことを何でも……秘密のことでも」教授「それじゃ、してくれるかね……勉強を」*  *  *  面白い小話を聞いたときに感じる「おかしみ」は、AIも感じることができるのだろうか? 「ユーモアがある」とか「ウィットに富む」ことを、AIは理解できるのだろうか?OpenAIでやってみた。最初に「今から面白い小話をします。この話の面白さを教えてください」と宣言する。その上で、小話をする。いきなり話を振ると、どんな話なのか分からなくなるのは人もAIも一緒だろうからね。「犬売ります」に対するAIの返答このお話は、犬を売りたいブリーダーが、犬の特徴をアピールするために、広告を出したという設定が面白いと思われます。また、犬が何でも食べるという特徴や、子どもが大好きである...

未来を思い出すためのSF『プロトコル・オブ・ヒューマニティ』

4回目のワクチン接種は、大規模会場だった。スマホに誘導された先には行列ができていた。クリアファイルを持った案内係が立ち回り、受付や検温をしていた。行列は長かったが、流れ作業のように進んでいった。一度だけ流れが止まった。列に割り込もうとした老人が、怒気を露わに係員に食ってかかっていた。数人の係員に付き添われながら、別室に消えていった。そのとき、強い既視感に揺さぶられた。先が見えない行列と「問診」という案内板、おとなしい大多数と、不安を怒りに変える人は、確かに見たことがある。小松左京『復活の日』か、あるいは、小川一水『天冥の標』だろうか。致死率・感染力ともに極めて高い疫病が蔓延し、文明が崩壊する話だ。読んでいるときは「パンデミックSF」という一つのジャンルとして捉えていたが、まさか目の前の現実とシンクロするとは思わなかった。SFがすごいのは、読んでいるときはそうでもないのに、現実になったときになって初めて、未来を体験していたことに気づけるところ。未来を...

なぜフィクションなのに怖いのか?どうして怖いのに見たいのか?『ホラーの哲学』

テレビでやってた『エイリアン』が怖すぎて、見るのを止めてしまったことがある(船長がヤツと遭遇するシーン)。ストロボに照らされ一瞬だけ映ったその姿は、今でもはっきり思い出せる、というか夢に出てくるトラウマだ。『シャイニング』(小説のほう)は怖くてたまらないのに、どうしても止められず、結局完徹したことがある。物語のラスト、オーバールック・ホテルが迎えた凄惨な朝は、痺れるほどのカタルシスだった。自分の経験だけど、不思議に感じる。1. モンスターは存在しないと知ってるのに、どうして怖いのか?2. なぜ怖いと分かっているのに、ホラーを読むのか?この疑問に、真正面から取り組んだのが、ノエル・キャロル『ホラーの哲学』だ。古今東西の哲学者、研究者、作家の言を引きながら、メジャー・マイナー問わず、映画や小説のホラー作品に共通する原則を考える。この検討の中で、この疑問に一定の解を導き出している。ただしこの哲学者、相当にワキが甘く、理屈にポロポロ穴がある。そんな穴にツッコミを入れながら、「自分ならホラーをどう捉えるか?」を考えていく作業が、この上もなく楽しい。ホラーという土俵で、哲学者と格闘できる一冊ともいえる。本書と格闘しながら「怖いとは何か」「怖いのに...

世界は「におい」に満ちている『香原さんのふぇちのーと』

「におい」は言葉より強い。どんな意志より説得力をもち、感情や記憶を直接ゆさぶる。人は「におい」から逃れられない。目を閉じることはできる。耳をふさぐこともできる。だが、呼吸とともにある「におい」は、拒むことができない。「におい」はそのまま体内に取り込まれ、胸に問いかけ、即座に決まる。好悪、欲情、嫌悪、愛憎が、頭で考える前に決まっている。「におい」は、主観で決まる。よい匂いなのか、ひどい臭いなのか分かるのは自分しかいない。たとえば、女子高生のわきから漂う「汗のニオイ」だと悪いイメージだが、「かぐわしいフェロモン」だと身を乗り出したくなる。そういう微細なアロマを嗅ぎ分け、スパイシーなのか粉っぽいのか、べっとり鼻孔に付くのか抜け感があるのか、甘み・酸味・青味・深み、香ばしさを観測し、秘密のノートに記録する―――それが主人公・香原理々香である。どう見ても変態ですありがとうございます。彼女は、女子高生という立場を利用して、クラスメイトのさまざまな匂いを嗅ぐ。たとえば、汗っかきの陸上部の子がわきを拭いたタオルにしみ込んだ汗においや、ローファーで蒸されハイソックスに包まれた足のにおい、あるいは、スパッツを少しずらしたお尻の隙間から漂うひんやりしたにお...

この本がスゴい!2022

「いつか読もう」はいつまでも読まない。「あとで読む」は後で読まない。積読をこじらせ、「積読も読書のうち」と開き直るのも虚しい。人生は有限であり、本が読める時間は、残りの人生よりもっと少ない。「いつか」「そのうち」と言ってるうちに人生が暮れる。だから「いま」読む。10分でいい、1ページだっていい。できないなら、「そういう出会いだった」というだけだ。「いま」読まないなら、「いつか」「そのうち」もない。本に限らず情報が多すぎるとか、まとまった時間が取れないとか、疲れて集中できないとごまかすのは止めろ。新刊を「新しい」というだけの理由で読むな。積読は悪ではないが、自分への嘘であることを自覚せよ。「いま」読むためにどうしたらいいか考えろ。「本」にこだわらず読まずに済む方法(レジュメ、論文、Audible)を探せ。難解&長大なら分割してルーティン化しろ。こちとら遊びで読書してるんだから、仕事じゃないんだから、もっと真剣にやれ―――そう言い聞かせ、2021年12月~2022年11月に読んだ中で、「これは!」というスゴ本を選んだ。独力では出会えなかった一冊、誰かの呟きで出会えた一冊、読書記録のおかげで完読できた一冊、読書会の課題だから読めた一冊、「そ...

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